夢を見失った梨子が夢を見つけた千歌に救われるというドラマ
ちかりこの形式的な面からの魅力については前述のとおりです。次に実質的な面について述べたいと思います。これはストーリーにおける実際の2人の交流という観点からの話になります。アニメのストーリーにおいても、ちかりこの交流はクローズアップされて描かれていました。先に整理したバックグラウンドでも触れましたが、この2人は対照的な事情を持っています。そんな2人が出会うことによって起きたこと・・・それは「夢を見失った梨子が夢を見つけた千歌に救われる」という感動的なものでした。
具体的にはアニメ第2話、第10話にそれが色濃く描かれています。
まずアニメ第2話「転校生をつかまえろ！」では、ピアノへの情熱を失った梨子がスクールアイドルへの情熱を持った千歌に惹かれ、何かに夢中になることへのきっかけを掴むことが描かれました。
アニメ第2話では、作詞で悩んでいる千歌に梨子と曜が「スクールアイドルがダイスキな気持ち」について書いてはどうかと提案する場面があります。それを聞いて名案だと思った千歌は目をキラキラさせながら再び作詞にむかいます。このとき梨子はかつてピアノに夢中だった頃の自分を思い出します。
先生「梨子ちゃん、とっても上手ね！」
梨子「だって、ピアノを弾いてると空飛んでるみたいなの！自分がキラキラになるの！お星様みたいに！」
ピアノに夢中だった頃の自分と、今夢中になっている千歌を重ねて梨子が何を思ったのかははっきりと語られていません。ただ、何かに夢中になって輝いていることの素晴らしさは梨子もよく知っているはずであり、千歌を見つめるその眼差しは懐古とともにどこか羨望を感じさせるものでした。千歌みたいに、自分もピアノで再び輝ければなと思ったのかもしれません。でもどうしたらいいか分からない梨子は後に千歌に問いかけます。
梨子「高海さん、私どうしたらいいんだろう？何やっても楽しくなくて、変われなくて・・・」
千歌「梨子ちゃん。やってみない？スクールアイドル」
梨子「だめよ、このままピアノを諦めるわけには・・・」
千歌「やってみて、笑顔になれたら、変われたらまた弾けばいい。諦めることないよ。」
梨子「失礼だよ。本気でやろうとしている高海さんに、そんな気持ちで、そんなの、失礼だよ・・・」
千歌「梨子ちゃんの力になれるなら、私は嬉しい。みんなを笑顔にするのが、スクールアイドルだもん！」
スクールアイドルとして差し伸べる千歌の手に、梨子も手を伸ばし2人がつながる名場面ですね。
千歌としては作曲できるメンバーが欲しいという事情はあるものの、それ以前に熱意を失ってしまっている梨子をなんとかしてあげたいと強く思ったのでしょう。その背景には、スクールアイドルとしての使命みたいな意識があるのでしょうが、これまでの自分にはないピアノという夢中なものを持っていた梨子に対して、千歌もまた惹かれていたのかもしれません。
梨子の方も、このまま一人で頑張っても変われないスランプを抜け出せる可能性を感じた以上に、自分のことを想ってくれている千歌の熱意が嬉しかったと思います。梨子はここで再び夢中になれるもの、スクールアイドル「Aqours」の活動のきっかけを掴みます。
その後、1stライブの成功や「TOKYO SCHOOL IDOL WORLD」での挫折、Aqours 9人の結集など紆余曲折ありながらもAqoursのメンバーとともに、千歌と梨子は活発で楽しい時間を過ごしていきます。
そして、多少カオス（？）でにぎやかなAqours合宿回のアニメ第10話「シャイ煮はじめました」では、千歌によって梨子が再びピアノに向かう勇気と情熱を取り戻せた場面が描かれました。
この時点で、梨子の中ではもうAqoursとスクールアイドルの存在が、ピアノよりも大きくなっていました。ピアノコンクールという、自分の本来の生きがいを取り戻せるチャンスがあるにもかかわらず、同じ日のラブライブ！予備予選突破に専念すると告げる梨子。しかしながら、千歌が最終的に返した答えは意外なものでした。
千歌「ピアノコンクール出て欲しい。」
(中略)
千歌「思い出したの。最初に梨子ちゃん誘った時のこと。あの時私思ってた。スクールアイドルを一緒に続けて、梨子ちゃんの中の何かが変わって、またピアノに前向きに取り組めたら素晴らしいなって！素敵だなって！そう思ってたって。この街や学校やみんなが大切なのは分かるよ。私も同じだもん。でもね、梨子ちゃんにとってピアノは、同じくらい大切なものだったんじゃないの？
その気持ちに、答えを出してあげて。」
(中略)
梨子「ほんっと、変な人・・・大好きだよ・・・」
大好きなシーンで、もはや状況説明不要だとは思いますが、梨子としては千歌に後押しされて救われた気分でしょう。自分も「梨子の大切なものをちゃんと理解している。千歌はなんでこんなに心遣いできるんだろう。健気すぎる・・・」と思い、感動してしまいました。
千歌は自分の夢中なことに周りを巻き込んだりと利己的なようでいて、このようにちゃんと他人の大切なものを尊重したり、手を差し伸べてあげたり、後押ししてくれたりと利他的な面もあるんですよね。梨子が千歌のことを「変な人」と呼ぶのは、そういうところなのかもしれませんが、これはアイドルとしてとても大事なことだと思います。自分の好きなことで、周りを笑顔にしていくというのは、まさにアイドルですからね。これは梨子でなくても惚れてしまいます！
その後アニメ第11話で、梨子はコンクールで曲を見事に披露し、ピアノを取り戻したのでした。
アニメのちかりこを見て思えるのは、「やりたいことや目標を見失ってしまっても、何かそれを持っている人のそばに居たら、また取り戻せるかもしれない。」ということですね。
自分も人生の目標とか、ライフワークとしてやりたいことなど未だにはっきりと見えていません。でも実際、趣味でラブライブ！にハマってラブライバー仲間ができたりすると、周りから色々刺激を受けるんですよね。そうしているうちにオフ会参加したり、ライブに行ったり、聖地巡礼したり、こうしてブログ書いたり・・・とやってみたいことが自然と増えてくるんです。
周りと関わりながら、やってみたいことを積み上げていくと、何かが変わっていくような実感はありますね。ちかりこを見ているとそれを改めて認識でき、より魅力に感じられるのです。
2期のさらなる、ちかりこの深化に期待
以上の通り、2016年夏のアニメにおいては、梨子が千歌に救われるストーリーが2人の交流で特に描かれていたように思えます。まだ正式発表はありませんが、次の2期アニメもおそらく2017年中に放送されるのではないかと思います。(秋ごろでしょうか。)2期においても、ちかりこの絡みをぜひ目にしたいものですが、個人的な期待として今度は「千歌が梨子に救われる」というストーリーが見たいなと思っています。千歌によって夢を取り戻せた梨子が、今度は千歌にお返しする展開とか来たらすごく熱くなれそうです。
そんな展開が来るとしたら、どんな内容になるのかは分かりませんが・・・もしかしたら、アニメ序盤の梨子、あるいはラブライブ！1期12話の穂乃果のように、千歌も自分の夢を見失ってしまう時が来るかもしれません。そんな時こそ梨子の出番でしょう。千歌と同じように手を差し伸べてくれるのか、あるいは海未が穂乃果を叱咤激励したようなことをやってくれるのかも！？
アニメ2期も2人の関係の深化に目が離せません！公式様が推してくれてる感もありますので、本当に心待ちにしています。もちろん2人だけじゃなく、曜ちゃん、果南さん、Aqoursみんなとの絡みも！
それまで、まずはAqoursの1stライブで盛り上がりたいところですが・・・とにかく「チケット当選を0から1にしたい！」
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