悪魔のリドル 漫画ネタバレ感想:最終回、兎晴の「悪魔のリドル」に感動!! ~riddle story of devil~

3年ほど前の2014年春にアニメ放送され、原作コミックとともにハマっていた「悪魔のリドル」・・・その原作の最終巻が先月発刊されました!

アニメ放送当時はリドラー(悪魔のリドルのファンのこと)として、毎週楽しみにしていたもので、原作の完結はとても感慨深かったです。原作最終巻を読み終えての感想を、アニメ版を踏まえての印象や作品テーマに触れながらここで記しておきたいと思います。

アニメ版に比べシリアスと可愛さのメリハリがあり、兎角さんがよりヒーローらしいです



まず「悪魔のリドル」という作品について改めて紹介しますと、KADOKAWA/角川書店の「月刊ニュータイプ」2012年9月号~2016年11月号まで連載されたコミックが原作となります。(原作:高河ゆん先生、作画:南方純先生)

アニメ版が2014年4月~6月に放送されており、アニメが原作ストーリーを追い越して先に完結、その後2016年10月に原作が完結したという経緯です。作品のイントロダクションは以下の通りです。

舞台となるミョウジョウ学園10年黒組は、たったひとりの標的とそれを狙う女子高生暗殺者12人で構成されていた。ひとり命を狙われながらも必ず生きて卒業すると誓う一ノ瀬晴。彼女が標的だと気づきつつも、距離が縮まるにつれ、晴がもつあたたかさに次第に惹かれていく東兎角。クラスメイトが刃を剥くとき、兎角は晴の守護者として立ち向かうのか、それとも……?
引用元:ストーリー | アニメ「悪魔のリドル」公式サイト

主人公の暗殺者、東兎角(以降、兎角さん)がヒロインの一ノ瀬晴(以降、晴ちゃん)を、11人の暗殺者から守り抜く学園バトルものであり、その中で描かれる兎角さんと晴ちゃんの百合(兎晴)が魅力の作品です。主な設定やストーリーに関して言えば、原作もアニメもほぼ同じです。

ただ原作の方は、暗殺バトルをはじめ全体的にシリアスな雰囲気がより漂っており、本気の「殺し」を感じられます。かと思えば、喜怒哀楽豊かで女子高生らしい身振りや、何かと兎角さんに抱きついて2828させてくれる晴ちゃんに代表されるような「可愛らしい日常」も作品で表現されています。

これらシリアスと可愛さ、殺しと日常がケンカすることなく不思議に同居しているように思えるのは、南方先生のダークにもキュートにも振れる魅力的な画風や、テンポの良いコマ割によるところが大きいのでしょう。これはアニメでの表現は難しいでしょうね。

そして兎角さんについては原作の方がよりヒーローらしく描かれています。アニメの兎角さんは、暗殺バトルにおいてイマイチ活躍できないことがあり、酷い時は「ポンコツ」呼ばわりされることもありました(苦笑)

一方で原作ですが、こちらは「人を殺せない」というハンデを終盤近くまで抱えながらも、他の暗殺者と互角以上に戦う、ダークヒーローとして描かれています。武智乙哉戦などが好例ですね。(さすがに英純恋子戦は相手が悪かったでしょうが・・・) アニメ版に比べシリアスに感じられるのは、この兎角さんのダークヒーローぶりによるところが大きいと思います。

晴ちゃんについても、伊達に修羅場くぐってきたわけではない、只者ならぬ印象が強くなっています。そして兎晴についても、お互いの心の交流がより深く描かれていました。場面は数多くありますが中でも、最終巻のあのクライマックスは圧巻でした!

最終巻、兎晴の「悪魔のリドル」に感動・・・


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「悪魔のリドル ~riddle story of devil ~」 という作品名は、悪魔の証明、リドル・ストーリーの2つが由来になっていると思われます。

リドル・ストーリーについては、兎角さんの師匠(?)カイバ先生のなぞなぞ(リドル)から始まるエピソード展開に、それが意識されていると思います。兎角さんが晴ちゃんと関わっていく中で、それらのリドルに対してどんな答えを見出していくのかが、この作品のポイントでもあります。

そして、最終巻で遂にクライマックスなリドルが出てきます。それは「兎角が晴を守ったのは兎角自身の意志か?」というものです。兎角さんが守ってきた晴ちゃんは実は、自分が生き抜くために人を操り、守らせ、犠牲にしてしまう「女王蜂の力(プライマー)」という能力の持ち主なんですね。

黒組の刺客からの暗殺を、兎角さんの助けを得て掻い潜ってこれたのはプライマーによるもの・・・これを知り、「自分は晴に惹かれたのではなく、ただ利用されていただけなのか?」と疑いつつも、やはり晴への「好きだ」という気持ちも確かである兎角さん。リドルに答えを出すためには、「兎角が晴のプライマーに影響されていない」という「悪魔の証明」をクリアしなければならない・・・

この「悪魔のリドル」を解くための、兎角さん、そして晴ちゃんの行動や心情、決意の重さが原作ではとても劇的に描かれていました。

まず兎角さんですが・・・「悪魔のリドル」を解くためになすべきこと・・・それは「晴を殺す」ということでした。暗殺しか知らない兎角さんにとっては、「好きな人への気持ちを確かめるために、好きな人を殺す」というパラドクスを乗り越えなければならない。非常に過酷で切ないものですが、プライマーに影響されていないことを証明するにはこれしかない。

兎角「おまえが好きだ。だから、おまえを殺す。」

対する晴ちゃんですが、こちらも兎角さんとともに生きて黒組を卒業したいという強い願いがあります。

晴「誰だろうと、神様だって、兎角だって、晴の願いは絶対に邪魔させない!だから、さあ、殺せるものなら殺してごらん。兎角。

兎角の決意を受けとめる晴。・・・そして、兎角は晴に向けて銃の引き金をひきます。

晴は撃たれます。その気になれば人を殺せる兎角は確かな手ごたえを感じたようです。
兎角の晴への気持ちはやはりプライマーに影響されたものではないことが確かめられたようですが、晴が死んでしまってはもはや生きる意味が見いだせない。そこで兎角は自分の頭に銃を向け自殺を図ろうとします。殺して生きるのでもなく、生かして死ぬのでもない。殺して死ぬ・・・

兎角「今ここでいっしょに消えたい。おまえの姿が見えるうちに今消えたい!!」

晴はプライマー能力により、これまで人に自分を守らせ、死なせていったという経緯がありますが、兎角もまた死なせてしまうのでしょうか・・・

晴「『わたしの全ての力を使う。それがプライマーかどうかなんてどうでもいい。』・・・(中略)・・・死なないで・・・・・・っ。兎角しかいない。兎角でなきゃ戦えない。兎角。わたしを・・・守ってくれるんだよね!!いっしょに来てよ!!」

わたしの全ての力を使う・・・それはプライマーではなく言葉であり魂であり、涙でした。生かして生きる・・・兎角は銃を捨て、晴はそのまま倒れます。晴を抱きしめる兎角・・・

クライマックスは原作で以上のように描かれていました。このように兎角は兎角、晴は晴でそれぞれ、「悪魔のリドル」に自分の全てをかけて臨み、お互いの全てを受け止めたのです。アニメ版では上記のような台詞や心情描写は少なかったのですが、原作ではこれが非常にドラマティックに描かれています。

晴が死んだら自分も死ぬしかないと、絶望まじりに初めて号泣する兎角。
兎角を死なせないために、もう流さないと決めたはずの涙を流しながら、必死に兎角の心に訴えかける晴。

特にこの場面が、絵だけですべて伝わるくらいの神懸かった作画とあいまって、最高に感動できます。ひなたに行けない宿命もプライマーの力も乗り越えていく2人を見ると、こちらも涙腺熱くならざるを得ない。まさに

カイバ先生「愛を人を変えるんですよ」

の言葉通りのことが、目の前で起きていたようで、今読み返しても冷静でいられないですね。

「悪魔のリドル」・・・その答えは「兎晴の愛の証」として、永遠に2人のものです。

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リドラーの楽しみはまだまだ続く

劇的なクライマックスを見せてくれた原作「悪魔のリドル」ですが、最終巻の表紙を見て分かるとおり、クライマックスシーンの後にも衝撃的な要素がありました。

アニメ版と同じく、ディテールは異なるものの晴ちゃんも一命をとりとめ、黒組を無事に卒業します。奇跡的に助かりましたが、これも兎角さんが生きてくれたこと、彼女と一緒に卒業したいという気持ちがあってのことでしょう。
兎角さんの方も、倒れた晴ちゃんに付きっきりであったことが描かれていました。アニメ版にはなかったシーンですが、その辺り描いてほしかったのでとても嬉しいです。理事長の百合さんに黒組勝者の報酬を尋ねられ、

兎角「望みは晴だ。晴をくれ。」

とプロポーズみたいに言うところなど、男前(?)でしたね。

正直よく分からない人だったカイバ先生は、卒業証書とサイコロを置いてどこかに行ってしまいましたが・・・きっと、兎角さんに生きる目的と愛を見つけさせ、ひなたの世界に導いてあげたかったのでしょう。

そして時が流れて・・・どれくらいになるんでしょう?最後に大人に成長した兎晴が登場します!事前に兎角さんが髪を伸ばしているという話は聞いていて、女性っぽくなるのかと思っていたのですが、むしろ逆で某抜刀斎みたくかっこよくなってました(苦笑) 晴ちゃんはいかにも女王な雰囲気を纏っていて、こちらは理事長の百合さんに近いイメージに・・・

登場シーンは短いですが、2人が仲睦まじくどこかの会議に向かうシーンが描かれて、物語は完結・・・


素晴らしいクライマックスを見せてくれた、原作「悪魔のリドル」・・・遂に完結し感動と同時に寂しさもおぼえます。

しかしながら、大人兎晴もそうですが他の黒組暗殺者たちの絡みなど、リドラーさんの妄想が大いに捗る燃料もたくさんできました。もとより、アニメ放映終了後からリドラーさんや、南方純先生を中心とした漫画家の方々が同人作品を出されています。どれもいい意味で「やりたい放題」で素晴らしいです!南方純先生のサークルPUREの「小悪魔のリドル」はまさに公式が最大手というやつですね。

原作は完結しても、今後も二次創作など色々な形で「悪魔のリドル」はまだまだ続いていくことだと思います。(原作ストーリーでアニメ劇場版とかやってくれないかな?と思ったり・・・諏訪兎角さんと金元晴ちゃんをまた見てみたいです)
創作活動などできない自分ですが、いちリドラーとして方々の創作を読んで楽しむことも「悪魔のリドル」というコンテンツが生き続けることにつながると思って、今後もリドラー続けていこうと思います。

ラブライバーと掛け持ちですね!でも別に大変でもなんでもない。生きがいは多い方がいいです。ダイスキがあれば、ダイジョウブさ♪

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