あんハピ♪評価/感想/考察:終盤に向けて指数関数的に面白い!はなこ、君は幸せそのもの

昨年のアニメは、ラブライブ!サンシャイン!!が頭一つ抜けている印象ですが、他にも良作が多数生まれた収穫の年だと思います。ここで、春アニメに放送された1つの神アニメについて、語ってみたいと思います。

それがこちら・・・


不憫な少女たちが今日も元気に繰り広げる励まし系学園コメディ。〝負の業〟すなわち不幸を背負った生徒たちが集められたクラス、天之御船学園1年7組に入学した、不運の花小泉杏(はなこ)、悲恋の雲雀丘瑠璃(ヒバリ)、不健康の久米川牡丹(ぼたん)、方向オンチの萩生響(ヒビキ)、女難の江古田蓮(レン)。「しあわせ」になるべく高校生活を送ることになるが――

引用元:イントロダクション | TVアニメ「あんハピ♪」公式サイト

不憫要素がひとくせあるけど、終盤に向けて指数関数的に面白くなる日常アニメ


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「ご注文はうさぎですか?」「きんいろモザイク」で知られる、まんがタイムきらら系のコミックが原作のアニメです。雰囲気で分かるように、ジャンルとしては「ごちうさ」等と同じ日常アニメですが、ただキャラが可愛いだけではなく、不憫というか・・・色々「残念」なところがw まとめると以下のとおりです。

■花小泉杏(はなこ)
不運キャラ。犬や猫を助けようとしたら、噛み付かれたり、橋から落ちたりと、とにかく行く先々でトラブルに巡り会う。ただ、なぜか本人は落ち込むことなく、いつもポジティブ。

■雲雀丘瑠璃(ヒバリ)
悲恋キャラ。状況理解がうまく比較的冷静だが面倒見のよさもある。想い人がいるが、それが何と工事現場の看板の人(オジギビト)

■久米川牡丹(ぼたん)
不健康キャラ。癒し系のお嬢様キャラだが、パンを食べただけで歯が折れるくらい身体が脆い。ただし回復も早く、応急処置が得意。

■萩生響(ヒビキ)
迷子キャラ。一人では目的地にたどり着けない極度の方向オンチ。やや男口調でツンデレだが、根はいいキャラ。幼馴染のレンに好意を持っている。

■江古田蓮(レン)
女難キャラ。クールなイケメン娘だが鈍感なところも。人間の女性をはじめ、全生物のメスを惹きつける体質をもつ。はなこ、ヒバリ、ぼたんは何故か反応しない。

見てのとおり、みんなちょっと残念な不憫属性を持ち合わせてますよね(笑) 特にヒバリちゃんが・・・工事現場のオジギビトが好きとか、さすがに自分も引いちゃいました(苦笑)  ただ不憫要素があるとはいえ、精神的に痛々しい話はなく、ほぼ萌えとギャグで突っ走る明るいストーリーです。そしてなにより優しい世界が広がっています。

キャラの不幸体質がひとくせあるのですが、みんな根がいい娘ばかりなんですよね。自分でも異常だと自覚しているヒバリの悲恋さを変だと思わず、普通に付き合ってくれるはなこ達。行く先々で自分たちをトラブルに巻き込んでしまう、はなこを忌々しく思わずフォローしてあげるヒバリ達。平和な世界に癒される日常系アニメの醍醐味は「ごちうさ」や「きんモザ」にも勝るとも劣らないと言っていいでしょう。

5月9日 迷子の登校風景

8月19日 幸せな林間学校

また、他に目を見張るものとしては、「百合」と「パロディ」が挙げられると思います。

女子キャラの絡みをメインとする日常アニメ(とくにきらら系)において、百合描写が出てくるのは必然といっていいですが、このあんハピ♪も例外ではなく中々に美味しいですよ~ メインキャラクターは5名ですが、そのなかでも響&蓮(ヒビレン)、はなこ&ヒバリ(はなヒバ)が特に百合百合しいですね。

幼馴染のヒビレンは毎回ヒビキが鈍感なレンに対してモヤモヤしたり、第5話で1話まるまる過去回が放送されたりと、作中で特に絡みが目立ちます。

個人的には、はなヒバが好きですね。ポッキーゲーム未遂(第3話)なども美味しいですが、眠れるように手を握ってあげるはなこの何気ない好意とそれに照れながら戸惑うヒバリ(第11話)のシーンが印象的です。天真爛漫なタイプとちょっと影のあるタイプの組み合わせは、鉄板ですね。

本アニメはパロディ要素も随所に出てきます。ネタが分かる人はニヤニヤすること間違いなしです。特に顕著なのは、まず第8話ですね。RPGバトルネタ、プリキュアネタなど満載です。ラスボスの小平先生が強すぎですがw

第11話・12話も凄かったですねw デンドロビウムが空を駆け抜けて大暴れですw ちゃんと中からステイメンが出てくるあたりも分かってます。制作スタッフは間違いなくガンダム好きでしょう。

全体としてみると、序盤はひとくせある不憫ネタが目立ちますが、後になるほど百合・パロディ等の要素も相まって話が盛り上がっていった感のあるアニメです。

2016春アニメは、「ハイスクール・フリート」「甲鉄城のカバネリ」など、序盤のつかみはよかったものの最後に失速していった作品もありましたが、この「あんハピ♪」は対照的であり、最後に向けて面白さが指数関数的に加速していった春の神アニメでした。もっと評価されていい、きらら作品だと思います。

不運でも不幸ではない・・・そんな日常がここにある


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あんハピ♪の特筆すべき点として日常系には珍しく、ある普遍的なテーマを扱っていることが挙げられると思います。それは「幸せ」というテーマです。

前述のとおり、ついてないキャラクターのドタバタ劇が繰り広げられるアニメですが、「幸せ」になることを目的に、課題をクリアしていくはなこ達の姿勢や、それに対する小平先生の助言など、「いい話だなぁ~」と思える場面もあります。以下のような台詞など特に。

小平先生「どんな小さな願いでも、ただ叶うことを待っていたら何も変わりません。願いが叶うよう一歩前に踏み出す。それがいつか自分を幸福へと導く鍵になるはず。でしたら、それはもうすでにあなた方の手元にあるのではないですか?」 (あんハピ♪ 第7話より)

小平先生「運というのは、人ひとりの力で決まるものではありません。周囲の環境や人、あらゆる要素で変わってゆくもの。皆さんの行動は、全くの不正解と言えませんからね。いまは分からなくても構いません。」(あんハピ♪ 第8話より)

チモシー「他人と自分を比べすぎるのは負の業の代表的な一つ。小平先生がそう言ってたよ。」(あんハピ♪ 第12話より)

なかなか深い話ですが、個人的には、はなこのような生き方が幸せに近づくヒントなのかなと思います。なぜそんなにポジティブなのかは分かりませんが、自分の不運をなんとも思わず「わたし、すっごくついてるよ!」と笑顔をみせ、ヒバリや周りの人たちがどんどん楽しそうになっていったり、はなこのために周りが助けてくれたりするのを見るとそう思えてきます。

やはりポジティブな人には、巡り巡って最終的にいいことが起きるのでしょう。(ちなみにこういうところ、自分の好きな「悪魔のリドル」の一ノ瀬晴を連想させてくれるんですよね)

運がないときは、あえて「わたし、すっごくついてるよ!」と言ってみると、いいかもしれません。人間万事塞翁が馬とやらで、何が良くて何が悪いかは分からないものですからね。

「幸せはどこにRのだーろーう?」
(あんハピ♪ OP 「PUNCH MIND HAPPINESS」より)

はなこ、君自身が「幸せ」だよ♪

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