プリンセス・プリンシパル 8話 感想:濃厚アンプリ百合神回!正反対なシャーロットとアンジェ…2人の過去と約束が遂に明かされた【プリプリ BD版9話】

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プリンセス・プリンシパル第8話(BD版9話) case20……遂に来ました、アンプリ過去回!第2話からずっと気になっていた、アンジェとプリンセスの過去(共和革命前まで)エピソードが、アンジェの回想として語られました。

第2話のアンジェとプリンセスの再会、そして第3話冒頭で触れられた2人の「あのときの約束」が綺麗な形で回収されていましたね。一言でいえばまさに「正反対」でしょうか。

第2話と繋がった2人の過去


王国から共和国への亡命を希望しているオライリー卿。
彼が秘密裏に接触する人物を特定するよう指令を受けたアンジェ達は、ターゲットが現れるまでオライリー卿が借りている部屋を監視することに。

公園で見張りをすることになったアンジェだったが、スリを失敗しては相手からひどい仕打ちを受ける少女・ジュリと出会う。

数日の任務期間中にジュリと親しくなったアンジェは、クロトカゲ星の“王女”と“スリ”の話を語りきかせるのだった——。


オライリー卿監視の任務中に出会ったスリの少女・ジュリに、アンジェはクロトカゲ星の“王女”“スリ”の話を語ります。これこそ、アンジェとプリンセスの昔話でした。
# サブタイトルのRipper Dipperですがこれは英語で、Ripper=素晴らしい人、Dipper=スリ、という意味があります。語感も揃っていて今回のエピソードにぴったりですね。

共和革命が起こる10年前のこと。今のアンジェは分断前のアルビオン王国王女シャーロットでした。王女という位である以上、礼儀作法から語学、乗馬、美術など堅苦しい教養を学ばなければいけなかった彼女は、そんな暮らしに嫌気がさしていました。

ある日シャーロットは王宮を抜け出しますが、とある場所で王国に住む少女アンジェと出会います。この娘が後のプリンセスでした。ややボロボロの身なりから、この頃は下流庶民であったようです。前髪以外は容姿がシャーロットとほぼ同じですね。(前髪パッツンの方がシャーロットですが、現在はプリンセスことアンジェが前髪パッツン)

第2話第3話第4話の考察でも触れたようにアンジェ(シャーロット)とプリンセスが容姿が似てる理由として、双子の姉妹説や影武者説が考えられましたが……どうやら偶然容姿が似てるけど身分の違う他人同士だったようです。

社会的身分が違いすぎるシャーロットとアンジェですが、2人はそんなのはお構いなしに仲良くなります。アンジェは毎日城に忍び込んではシャーロットと遊んで過ごしていました。一緒にピアノやゲーム、文学、なわとびを楽しんだり、服を交換したり、入れ替わって城内の大人をからかったりと……

そして、ある日のこと……

【第8話 case20、回想】

アンジェ「ねえ王女様、私たち、友達になろうよ。」
シャーロット「私はつまらない娘よ、お友達になっても楽しくないと思うわ。」
アンジェ「ううん、楽しい!」
シャーロット「どうして?」
アンジェ「私たち、正反対だから」

これは、第2話のチェンジリング作戦で現アンジェがプリンセスと再会した時と正反対の掛け合いですね。

【第2話 case1、アンジェとプリンセスの対面】

プリンセス「お名前は?」
アンジェ(シャーロット)「アンジェ……私と友達になってくれませんか?」
プリンセス「……私はつまらない人間よ、お友達になっても楽しくないと思うわ」
アンジェ「ううん、楽しい」
プリンセス「どうして」
アンジェ「私たち、正反対だから」

第2話でアンジェが言った「私たち、正反対だから」というのは、アンジェとプリンセスの立場や名前が本来と正反対という意味だと思っていました。しかし、これには元ネタがあって、過去にアンジェ(現プリンセス)がシャーロット(現アンジェ)との境遇が正反対という意味で使った言葉だったのですね。

第2話でアンジェはこれをうまく利用して、プリンセスに自分がシャーロットであることを伝えていたというわけです。プリンセスもうまく正反対のやりとりで返して、シャーロットであることを確かめていたのですね。内心、生きて再会できて泣きそうなくらいだったかも……

第8話見た後だと第2話の印象がまた変わって見えちゃいますね。伏線の張り方が見事です。

シャーロットの約束はアンジェに受け継がれた……


「王子と乞食 (1881年、マーク・トウェーン 著)」という有名な童話小説があります。容姿が瓜二つの王子と乞食が入れ替わり、王子は世間の荒波にもまれ、乞食は裕福な王室の生活に窮屈さを覚える。お互いにこれまで見たことがなかった社会階層の実態を目の当たりにしていくお話です。

シャーロットとアンジェの過去はこれがモチーフのようですね。

外の世界を見てみたい。誰にも期待も干渉もされず、自由に生きたいと望んでいたシャーロットはある日、アンジェと入れ替わり城外に出ます。

そこで見たものは、動物の死骸が横たわる廃墟のような街、失意に暮れる人々……やがてアンジェの父親が現れ、シャーロットをこっ酷く扱います。(アンジェと呼ばれていたことから、プリンセスの本名がここで確定しましたね。)

当時の王政がよくなかったのか、アルビオン王国の国民は貧困に喘いでいたようですね。ケイバーライト技術や空中艦隊を持った覇権国家でもこの有様。国民の不満が頂点に達していたその日、後の分断国家を作り出した重大事件、共和革命が勃発します……

内乱の中、国の実態を肌身で感じたシャーロットは、無事城に戻りアンジェと出会います。そして……第3話冒頭でシャーロット(現アンジェ)の言った「あのときの約束」が描かれます。

【第8話 case20、回想】

アンジェ「はやく逃げよう。」
シャーロット「アンジェ、私女王になる。アンジェと入れ替わったおかげで、私分かったの。みんなを分ける見えない壁がいっぱいあるって。」
シャーロット「私は女王になって、その壁を壊してやるの。そうしたらアンジェ、私とあなたずっと一緒にいられる!」
アンジェ「素敵な夢だね……」
シャーロット「夢じゃないわ!私はきっと叶えてみせる!約束する。だから……」

直後、撃ち込まれた砲弾により足場が崩れ、シャーロットは転落……駆けつけた兵士たちはアンジェを王女と勘違いして城内に連れて行きます。こうして2人は引き裂かれ、シャーロットは今のアンジェに、アンジェは今のプリンセスになったのでした。

アンジェ(現プリンセス)は「女王になって壁を壊し、皆が一緒に暮らせる世界をつくる」ことを目指していますが、これは元々シャーロットが決意したことだったのですね。プリンセスとなったアンジェが女王を目指すのは、かつてのシャーロットが言った約束を自分が受け継いで果たすためでもあったようです。あと壁はロンドンの壁だけではなく、階層社会の壁のことも差しているのですね。

第3話冒頭では、今度はシャーロットが逃げようと言い出すも、アンジェが女王になりたいと言って協力をお願いしてます。ここでも昔と正反対なやりとりで面白いですね。きっと昔のシャーロットも女王になるために、アンジェに一緒に協力してほしいと言いたかったのかもしれません。
# ちなみに第3話冒頭でも昔の約束の時らしき2人のカットが流れますが、2人の髪型(衣装)が逆になっています……ミスリードを誘う意図的な演出でしょうかね?


昔の嫌いな自分を追いかけていたプリンセス……シャーロットも嬉しいでしょう


【第4話 case9】

アンジェ(シャーロット)「昔の自分は嫌い……」
プリンセス「でも、私が好きになったのは昔のあなたよ。」

第4話 case9 でこんな会話がありましたね。共和革命以降、厳しい現実を見てきたシャーロットは、かつて例の約束をしたときの自分が世間知らずな幻想を抱いていたと思い、嫌いになったのかもしれません。

「プリプリ♡秘密レポート 第8回」で明らかにされましたが、シャーロットは革命のときに両親を殺されてしまい、身寄りのない子供をスパイとして育てる共和国の諜報機関に拾われて、今に至るという経緯のようです。(第1話で、両親を殺されたのは嘘とエリックに言っていましたが、やはりそれは嘘の嘘だったわけですね。)

シャーロットがどんな修羅場をくぐってきたのかは描かれていませんが、スパイになったときの話や、「壁を無くすなんて甘い幻想だった、アンジェを連れてカサブランカの白い家で暮らそう」と思い立つまでのお話とかは見てみたいですね。


一方のアンジェですが、こっちはこっちで修羅場だったことが今回描かれていました。革命時にシャーロットの両親が殺されたことで、誰も正体を見抜けなかったものの、もしバレたら命が危ないというプレッシャーの日々。そんな中で王女として振る舞うべく、あらゆる高度な教養を身に着け、血の滲む努力をしなければならなかった。

王女がスパイになるのも大変でしょうが、平民が王女になるのも同じくらい大変でしょう。それでもこうして今、プリンセスになれているのは生き抜くために必死で頑張ったからでしょうが、それだけではないと思います。やはり、かつてのシャーロットの約束を自分が果たそうという気持ちも大きかったのではないでしょうか。あの素敵な夢を実現すると語ったシャーロットが好きだったから。

【第8話 case20、終盤のアンプリ】

プリンセス「必死だっただけよ。知識も気品も何もなかった。私は空っぽだったから……」
アンジェ(シャーロット)「違うわ。 (中略) あなたはこの国を変えようって言った。かつて私が目指したように。あなたはもう本物のプリンセスよ。」
プリンセス「ありがとう……あなたに言われるの、とても嬉しい……」

プリンセスだけではなく、自分が捨てた夢を追いかけてくれていたシャーロットにとっても敬意や謝意の他、嬉しさで胸が一杯でしょう。そして10年ぶりのピアノ連弾が過去の2人と重なって行く姿……微笑ましいですね。弾いてる曲もエンディングのピアノ版といういい締め方でした。アンプリ神回、最高です!(百合ですね^^)


さて、次回9話はまた時を遡ってcase11。ちせがクイーンズ・メイフェア高に転入して間もない頃のお話のようです。前回の考察でも述べましたが、そろそろ女子高生らしい学園回が見たいと思っていたところでした。そのあたり期待したいですね。

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