人工知能の分類・技術体系について整理【機械学習、AI、ディープラーニング】

人工知能(AI)、機械学習、ニューラルネットワーク(ディープラーニング)を勉強していて、特に気になった点などを自分の中の整理も含めて、取り上げてみたいと思います。

まずこれらを学ぶにあたり、入口でぶち当たったのが、これらがそもそも何なのかという話(定義や体系)ですね。

人工知能(AI)、機械学習、ニューラルネットワーク(ディープラーニング)の3つのキーワードですが、どの文献やサイト情報をあたってみても、次のような概念の位置づけとされるのが一般的のようです。

[それぞれの定義]
  • 人工知能:
    一部の領域(理想はあらゆる領域)で人間と同等以上の知的能力を発揮する機械。それを人工的に作り出す試み。
  • 機械学習:
    人間の持つ学習能力をコンピュータ上で再現し、学習モデルを用いて事象の予測、分類などに活用する試み。
  • ニューラルネットワーク(ディープラーニング):
    人間の脳神経ネットワークをコンピュータ上で模擬したもの。事象の予測、分類などに活用する。
[概念の位置づけ]

  • 人工知能 > 機械学習 > ニューラルネットワーク(ディープラーニング)


人工知能が一番広い概念であり、機械学習はその一手法、ニューラルネットワーク(ディープラーニング)はさらにその一手法。という位置づけです。詳細は↓の本が参考になります。




人工知能の分類については3つほどあるようなので、以下に記してみます。

分類1:従来型と計算知能

  • 従来の人工知能(AI)
    • エキスパートシステム
    • 事例ベース推論
    • サポートベクターマシン?
  • 計算知能(CI)
    • ニューラルネットワーク
    • ファジィ制御
人工知能において、従来型と計算知能という2つの分野(学派?)で考える分類です。
機械学習は分野というより、中核的な手法の一つという認識で考えます。ニューラルネットワークは計算知能(CI)という分類に属します。

まず、従来のAIというのは、膨大な情報と条件を照らし合わせながら、最適な提案を導き出すエキスパートシステムのようなものや、情報を蓄積して分析し、ある事例に類似した事例を導き出す事例ベース推論といった手法があげられます。いずれも、フォーマリズムや統計分析を土台としながら、機械学習を主な手法として創り出される人工知能を示します。
一方、CI(計算知能)と呼ばれる学派は、コンピューターが繰り返し学習をして、経験を積みながら成長していくという人工知能のことで、人間の脳をモデルとしたニューラルネットワークのしくみや、不確かな状況で推論を行っていくファジィ制御といった手法がこの学派に当てはまります。

-----従来のAIと新たに期待されるCIとは | 非エンジニア向け「人工知能まとめ」より

サポートベクターマシンについては、どちらに入るかがよくわかりませんでしたが、ニューラルネットワークのような知能を模擬するような代物とは違うのでおそらく従来型であろうと思われます。

自分なりの理解ですが、従来型と計算知能の違いはサッカーに例えると、以下のような感じですね。
・従来型: 線形分離可能(白黒はっきりつけられる)問題は楽勝
 → ユニフォームの色で敵味方区別できる程度のことは難なくできる
・計算知能: 線形分離不可能な問題
 → フリーキックの決め方を学習して、高い精度で決められるようになる

分類2:ルールベース、統計・確率論、脳科学

  • ルールベース
    • エキスパートシステム
  • 統計・確率論(機械学習)
    • サポートベクターマシン
  • 脳科学(機械学習)
    • ニューラルネットワーク

人工知能を3つのアプローチに分けて捉える分類です。
機械学習は、統計・確率論、脳科学にまたがるコア技術という位置づけです。

参考サイト:

分類3:弱いAI、強いAI

  • 弱いAI(AI:特化型人工知能)
    • エキスパートシステム
    • サポートベクトルマシン
    • ニューラルネットワーク
  • 強いAI(AGI:汎用人工知能)
    • 全脳アーキテクチャ
    • 全脳エミュレーション
参考サイト:
「人工知能の経済学」視点で考える第4次産業革命:Hitachi IoT Platform Magazine:日立

先の2つの分類とはちょっと違う観点からの分類です。(実現していない技術も含んでいます。)主にAIの「能力」という観点からの分類です。

人工知能には弱いAIと強いAIの2種類に大別されます。弱いAIとはある特定の目的(画像認識、音声認識)を遂行するために開発、活用されるものを指し、ニューラルネットワークやディープラーニングもこれに含まれます。昨今でいうAIとは、この弱いAIに属します。

強いAIとは、一言でいえば「ターミネーター」ですw人間ができる大抵の事(文書を書く、料理を作る、会話する)を可能とします。弱いAIである特化型人工知能に対して、この強いAIは、AGI:汎用人工知能と呼ばれています。本当にそんなものが実現するのか?と思いたくなりますが、本気で研究が進められています。

AGI:汎用人工知能の可能性や社会に与えるインパクトについては、この本が面白いです。

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強いAIの実現には2つの方法が考えられています。一つは「全脳アーキテクチャ」、人間の脳の構造を参考に、各部位の機能を再現するパーツを組み合わせる。これにより人間の脳と同等の機能を持ったコンピュータを作ることです。

もう一つは「全脳エミュレーション」。これはちょっとヤバイ技術です。人間の頭にナノマシンを注入して神経回路を解析し「コネクトーム」という思考地図を手に入れる。
そのコネクトームをコンピュータにインストールして、人間の思考を再現するというものです。

「全脳アーキテクチャ」に比べて、かなりぶっ飛んでいて色々問題がありそうな気がしますが、より完全に近い人工知能といえます。これができたら、良くも悪くも今の人間社会は様変わりでしょう。

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