今年は「ましろウィッチ」などのソシャゲに時間をかけることが多くなったのもありますが、個人的にそれほど熱が入るアニメがほぼ見当たらなかったので、アニメ関連の記事は今年は書いてませんでした。ここまで不作と言っていいかも。
# 遊んでるソシャゲの方も、いま更新がなく下火になってますが……
夏アニメも何となく流し見していた程度でしたが、中盤になって目を引く面白さになってきたオリジナルアニメが出てきました。それが「グランベルム プリンセプスのふたり」です。
満ちた月の運命――
歯車が回る新たなる月夜
世界中の魔力が消失してから1000年近くの時間が過ぎ、
すでに魔法は人々の記憶からもすっかり忘れられていた。
そんな世界で生きる明るく元気な高校生、小日向満月は
前向きに暮らしながらも、心のどこかに不安を抱えていた。
自分には何もない――。
勉強も運動も得意ではない彼女は、
自分だけにできる“何か”に憧れていた。
夜空の月がやけに大きく感じられた満月の晩。
彼女はもうひとりの月の名を持つ少女、
新月エルネスタ深海と出会う。
それは魔法人形“アルマノクス”との遭遇でもあった。
満月の運命の歯車が、軋んだ音を立てて今動き始める――。
-----グランベルムイントロダクションより
監督にリゼロの渡邊政治氏、シリーズ構成にラブライブ!シリーズの花田十輝氏
という名作クリエイターが揃ったオリジナルアニメ。作風も魔法少女×ロボというメジャーなジャンルの組み合わせということもあり、放送前からは、かなり野心的なものになりそうだなという印象を受けていました。
いつの頃からかハズレ作が多くなり、凋落ぶりが著しくなった「ロボアニメ」という要素がやや不安でしたが……6話まで見たところ、久々に期待できそうです!
まどマギ、Fateの二番煎じに見えるけど…最後まで分からない?
グランベルムってどんなアニメ?と聞かれたら、世界観(設定)、キャラ、ストーリーをひっくるめて、以下を混ぜた感じのアニメと答えますね。
- Fateシリーズ
- 魔法少女まどか☆マギカ
- 冥王計画ゼオライマー
世界観(設定)で言うならば、タイトルでもある「グランベルム」はFateでいうところの「聖杯戦争」であり、ロボを駆使した魔法少女(魔術師の少女)達のバトルロイヤルが舞台です。
キャラで言えば、満月と新月の主役2人は、キャラデザ、ポジションともにそれぞれ、まどマギの「まどか」と「ほむら」を連想させます。2人を中心とした可愛い日常とシリアスなバトルが交錯して展開するストーリーも、まどマギっぽい。
主役2人以外では、新月とアンナに見られる少女同士の確執も中盤にかけて見どころですね。Zガンダムでいうところのカミーユ vs ジェリドみたいな感じで話を盛り上げています。
花田作品らしく、少女同士の友情や苦悩にスポットがあたっており、別にロボアニメではなくてもいい気もしますが……ロボ要素をここで加えることで差別化を図ろうとしている狙いがあるように見えます。
見たことのない斬新なアニメという感じはありません(悪く言えば色々混ぜた二番煎じ)が、世界観やストーリー展開はこれまでのところ大きな破綻はなく、料理できている感じです。後述する満月の正体明かしや、新月との戦いの行く末次第で良作か二番煎じ駄作になるか評価が決まりそうです。
ロボアニメとしては戦闘など中々見応えあり。何かゼオライマーが思い浮かぶ……
本作の目玉要素であるロボ「アルマノクス」についてですが、最近では珍しいSD(スーパーデフォルメ)デザインを採用し、魔術師の魔力で動く機動兵器という設定が大きな特徴です。
バトル作画・演出については、ロボがよく動きまわり、SDながらスピード感・迫力があります。特に第5話ですね。主人公の満月の駆る「ホワイトリリー」の派手な必殺技や「質量を持った残像」の動きなど、スーパーロボット系やガンダムのオマージュを感じさせ、ロボアニメ好きの心をくすぐります。
登場ロボの中でも注目すべきは、やはり「ホワイトリリー」です。第1話の登場からチートクラスの破壊力を披露。白い機体、ビームサーベル、ビームシールド、ビームバルカンなどいかにもオーソドックスな主人公機ですが、どこか禍々しさも感じさせます。第5話では悪魔のような一面をみせるなど、満月とともに謎に満ちた底知れなさがあります。
SDデザインではあるものの見た目や能力の印象から、名作ロボアニメ「冥王計画ゼオライマー」の「天のゼオライマー」を連想させます。主人公の精神状態(覚醒状態)によってチート性能を見せつけたり、初戦の相手が風ロボという展開とか、ゼオライマーを意識してるのかなと。
ちなみに冥王計画ゼオライマーは30年ほど前のロボアニメです。自分はゲームのスーパーロボット大戦から知ったものですが、ロボ、設定、ストーリーともに中々の名作でした。(天のゼオライマーはとにかくチート!)昭和のロボアニメが、令和の今になって再び思い浮かぶのは何かしみじみしますね。スパロボ新作で共演あるかも!?
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満月の正体がどう明かされるか…彼女は何者?
6話までみてここまで、ストーリーで一貫して気になっているのは、やはり主人公の「小日向 満月」の正体ですね。
小日向 満月 (CV: 島袋 美由利)
どこにでもいるごく普通の高校生。
頼られると、どんなこともふたつ返事で引き受けてしまう性格だが 本人は特にそれを負担には思っていない。
運動も勉強もあまり得意なほうではないが クラスメイトたちともまあまあうまくやっていけている。
しかし一方では自分には“何もできることがない”とも感じており “人にはできない特別な何か”に、ほのかな憧れを抱いている。
-----グランベルムキャラクター紹介 より
ピンクの魔法少女キャラ、実は凄まじい力の持ち主ということで、見た目や雰囲気も合わせて、まどマギの主人公「鹿目まどか」を連想せずにはいられませんが……「特別」にあこがれる普通少女というところは、ラブライブ!サンシャイン!!の高海千歌など、花田作品の主人公らしいです。
そんな満月ですが、彼女の生い立ちなどの詳細な背景については、第6話時点で不自然なくらいほぼ語られていません。彼女は何者なのでしょう?分かっているのは
- 魔術師の家系ではなく、本来グランベルムに参加できない。
- ↑にもかかわらず、「イメージする」適当な感覚だけでアルマノクスを使いこなす才能。
- 何かのスイッチが入ると、目が怪しく発光し機体をパワーアップさせる特殊能力持ち。
- 何らかの進化(突然変異)で生まれた新しいタイプの魔術師
- 未だ存在を知られていない特別な魔術師の家系
- 何らかの理由で今回に限りグランベルムから特別に選ばれたイレギュラー
- 実は人間じゃなくて、魔力か何かの化身?
一番面白そうなのは、さっきの4ですね。2話で新月が魔力について「本来存在しないことすら、あったことにしてしまう力」と述べていましたが、実は満月自身がその魔力によって生まれた存在だったりとか?「自分がいることに気づいてほしい」と訴えてるのも、そもそも現世に存在していないことの伏線なのかも?
仮にそうだとすれば、すべての魔力を消し去ることを目的にしている新月が辛い目に遭いそうです……
終盤前までにはその辺り、ちゃんと明かされてくるでしょうが、さてどうなるでしょうか?まとめ次第では、神ロボアニメに化けそうです。
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満月の正体は第10話で決定的に。やはり彼女は…
満月の正体、9話10話を通して明らかにされましたね。第9話は、本気出した水晶に貫かれた満月の身にある異変が起きるという衝撃のラストでした。
満月の手が次第に機械人形のような姿になっていく… これだけでも、彼女の正体がだいぶ分かるものでしたが、第10話にて水晶、寧々により決定的に言及されました。
- 満月は人間ではなく、マギアコナトスが生みだした魔術人形
- 新月にとって望ましい親友として、イメージされた人形
- グランベルム制覇候補である新月への試練を目的につくられた
天賦の才を持った新月を試すために、親友を創りだし戦わせ、最後にはその手で消し去ってしまうことになるかもしれないという…… マギアコナトスもなんとも残酷でえげつないことをしますね。それでも、単純にこのままバッドエンド……にはならない気はします。
満月が先の理由だけで作られた存在ではない。マギアコナトスの別の意志をを引き継いでいる存在の可能性があるんじゃないかというのが引っ掛かっているからです。
「自分には何も無い、自分がいてもいなくても変わらない」
「誰かに気づいて欲しいんだよね 私がいるって事」
以前に満月が語っていた印象的な台詞ですが、 これはかつて世界から殆ど消失し、人々の記憶からもすっかり忘れられていた「魔力」の意志そのものにも思えます。 新月がプリンセプスとなってその願いを叶えてほしい。つまりは小日向満月として現世に存在したい。人々と一緒にいたい。という「マギアコナトス」の意志がここにあったりしないかなと。
これを考えると、満月がただの人形で終わるだけの空しい結末にはならないのではないでしょうか。最終的に満月は本当の人間として存在し、新月の親友として居続けられるという希望を持ちつつ最終話を迎えたいと思います。