AIの歴史を簡単に整理してみた

人工知能(AI)について、引き続き勉強中です。

人工知能の体系について前回は記事を上げましたが、今回は人工知能の背景となる歴史について、自己学習、整理を兼ねてアウトプットしたいと思います。

自分は理系の情報通信系出身ですが、学生当時は人工知能についてはほとんど関心がなく
今となっては、その概論など何かの講義で触れておきたかったなと少し後悔してます…そのときは、人工知能についてはあまりスポットがあたってなかった時期だったというのもありますが、こっから学び直しですね。

人工知能の歴史についても↓の本が参考になります。ディープラーニングの技術本としてだけではなく、教養本としてもオススメできるオススメ本ですね。



人工知能のブーム


人工知能は現在まで、3度の流行(ブーム)がありました。

  • 第1次ブーム:1940年頃~1960年頃
  • 第2次ブーム:1980年頃~1990年半ば頃
  • 第3次ブーム:2000年半ば頃~現在
自分が世間がAI、AIとなんか話題になっているなと実感し始めたのは、2017年頃からでした。しかしながら人工知能自体はときに「人工無能」と呼ばれながらも、70年近く前から提唱され、研究開発が進められてきたのです。各ブームで何が起きていたのかをそれぞれ見ていきます。

第1次ブーム


1940年頃~1960年頃のお話です。人工知能という概念が初めて提唱された時代です。
この時期、脳科学がある程度進み、脳の仕組みが少しずつ分かってきていました。1943年、ウォーレン・マカロックウォルター・ピッツという2人の米国人学者が、脳の神経細胞をモデル化した形式ニューロンを発表しました。これを受けて、このニューロンの仕組み(知能)を機械で再現できないかという議論がおこり始めました。

その機械じかけの知能はまさに「人工知能」のことであり、1947年に、その概念を初めて提唱したのが、イギリスの数学者アラン・チューリングという人です。その後、1951年には、マービン・ミンスキーとというアメリカの計算機科学者が世界初のニューラルネットワークマシンを発明しました。SNARC(Stochastic Neural Analog Reinforcement Calculator)と呼ばれる、真空管を用いた迷路学習マシンです。

1956年には、人工知能に関するダートマス会議が初開催され、ここで人工知能(AI: artificail intelligence)という言葉が登場します。そして1958年に現在でいわれるAI(ディープラーニング)の元となった、パーセプトロンというAIが登場しました。これはフランク・ローゼンブラットという方が発明したものです。

1963年には、ウラジミール・ヴァプニク氏がサポートベクターマシンという現在でも使われる機械学習手法を発表します。

しかしながらパーセプトロンもサポートベクターマシンも、AND、OR、NANDといった線形分離可能な問題しか対応できないということが分かります。それよりも複雑な問題を解ける見込みがなく、とてもじゃないけど、人間の知能を再現できる見込みがほとんどないということで、ブームは10年程度で終わってしまいます。

第2次ブーム


1980年頃~1990年半ば頃のお話です。この頃に人工知能界隈を盛り上げていたのは、「エキスパートシステム」というAI技術です。

今のディープラーニングのような機械学習とは違う原理(ルールベース)のものです。医療関係、法律関係の業務に活用することを想定し、機械に必要な医療や法律知識をインストールしておき、一部ではプロ並みの診断ができるような結果を出すに至りました。

しかしながら、機械にインストールする知識やルールが膨大で、専門家へのヒアリング含め非常にコストがかかるのと、与えられたルールや知識の中でしか判断できない(要はマニュアル思考)のため、あいまいな状況の中で判断を要求される現場では使えないものとされました。

エキスパートシステムは期待外れに終わりましたが、このブームの間、後のディープラーニングにつながる、多層パーセプトロンとその学習アルゴリズム「バックプロパゲーション」が1986年に提唱されます。アメリカの認知学者デビッド・ラメルハートという方が提唱された技術です。

また、1992年にはサポートベクターマシンが線形分離不可能な問題にも拡張できるようになり、注目を浴びるようになりました。

第3次ブーム


2000年半ばごろから現在までのお話です。

2006年に、昨今でもブームとなっているAI技術「ディープラーニング」がカナダ・トロント大学のジェフリー・ヒントン教授によって提唱されました。

さらに2012年には、世界的な画像認識コンテストで「ディープラーニング」を活用したヒントン氏のトロント大学チームが好成績を上げて話題になりました。従来手法が認識エラー率26%のところ、ディープラーニングでエラー率17%まで大幅に低減できることが示されたのです。その年、Googleもディープラーニングによる高精度な画像認識に成功。「AIが自力で猫を認識することに成功した」と発表し、衝撃をあたえます。

そして2015年、ニュースでかなり話題になったAI「AlphaGo」の登場です。囲碁で人間のプロ棋士をはじめて破り、ディープラーニングは一部で人間を超える知的能力を発揮することを示したのです。

昨今でAI、AIといわれるのは、この「ディープラーニング」のことを指します。このディープラーニングがブレイクした背景には、計算機処理能力(GPUなど)の発劇的な向上、多種大量のデータ(ビッグデータ)収集が可能となったことなどIT技術の発展があります。

現在、画像認識、音声認識、自然言語処理、株価の予測などで人がやるよりはるかに速く正確な解決手段を提供するツールとして社会実装が進んでいます。

今後、さらなる計算機性能向上(量子コンピュータなど)、IoTによる多種大量データの収集によってディープラーニングのパワーアップと活躍が広がっていくのではないかといわれています。

第4次ブーム


おまけとして、ディープラーニングの次のブームが何で、いつ頃になりそうかというお話です。ディープラーニングは、割と使いどころの多いAI技術ですが、人間のようにあらゆる事を器用にこなせる万能さは持ち合わせていません。

画像を分類する、株価を予測する、売り上げを見積もるなど、ある特定の仕事に対して高い能力を発揮する特化型人工知能(弱いAI)といわれるタイプのAIです。

ディープラーニングの次に来ると考えられているのは、汎用人工知能(AGI: Artificial General Intelligence)とよばれる強いAIです。人間と同等のことができる万能さを持った知能で、いわば「ターミネーター」です。そんなものが本当にできるのかと思いますが、早ければ2030年頃にはできるのではないかといわれています。有望な技術としては、全能エミュレーション、全能アーキテクチャと呼ばれる技術で可能になると言われています。

直近では、「ニューロモーフィック・コンピューティング」と呼ばれる技術がかなり進んで期待されているようです。ディープラーニングが、ソフトウェア、アルゴリズムの技術革新であるのに対して、こちらはハードウェアアーキテクチャにおける技術革新といわれます。

ニューロンなどの脳の仕組み、動きをハードウェアチップで再現することで、自己学習していくという、まさに「ターミネーター」のに搭載されている頭脳チップをうかがわせるものです。実際にインテルが「Loihi」というニューロモーフィック・チップの開発に成功し、2019年には小型ネズミくらいの知能を持てる見込みだといわれています。これから指数関数的に、性能が向上していくのなら、人間と同じ知能のAGIも2030年くらいにはできそうな感じですね。


↓AGI:汎用人工知能が社会に与えるインパクトについては、この本が面白いです。

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